自社サービスへ好意的な取材ばかりならいいのですが、場合によっては経営内容や事件事故に関する取材の可能性もあります。
ネガティブな案件で取材を受けた場合であっても、編集の権限はすべてメディア側にあります。
今回は、危機管理広報においてネガティブ案件の取材依頼があった際、心がけたい対応と、取材までの流れを解説します。
取材依頼、記者の意向を確認する
メディアから取材だと意気込んだら、経営内容や事件事故に関する問い合わせの場合であることも。とっさの時にすぐ対応できるように、あらかじめどのような取材であっても対応出来るように、心がけておかなければなりません。
取材の申し込みには大きく三つに分けられます。
- 自社サービス取材
- 重要な経営情報に関する取材
- 事件事故不祥事に関する取材
電話を受けた場合、メディア側のテーマや意向がどこにあるのかを、まず確認しましょう。上記の項目のうち「重要な経営情報に関する取材」「事件事故不祥事に関する取材」ならば危機管理広報として動かなければなりません。
危機管理広報とは?
危機管理広報とは、事件や事故・または不祥事が発生した際に、組織内外の関係者(ステークスホルダー)に対し、適切な説明を行うことであり、「クライシス・コミュニケーション」とも言われています。
この説明の席で対応を間違うと、人々に対して不安や不快感を抱かせたり、または不信感を増大させることになります。そのため顧客が離れてしまったり、売り上げダウン、時には経営層が辞職に追い込まれ、倒産にまで至ることもありますので、危機管理での広報は慎重に組織が一体となっておこなわなければなりません。
事件や事故・不祥事の対応のながれ
1.取材の意図を確認
進行中の重要な経営案件に関する情報や、企業内の事件自己又は社員の不祥事に関する情報に対しての取材を受けた場合、まず取材の意図と状況をよく聞きます。
2.取材を受けるか、先延ばしするか
そして取材を受けるのか先延ばしするのかの判断をします。身に覚えのない噂であるのか、事実であるのか、とっさにはその時点で判断ができることばかりではありません。まずは経営トップに報告し、判断をあおぎます。
最初の対応によって深刻な事態に陥るケースがありますので、とにかく素早い行動をとります。
重要な経営案件の場合
進行中の重要な経営に関する案件に、取材に来た記者がその案件に関してどのくらい正確な情報を持っているかによって対応が変わります。
広報担当者は、情報がどの程度なのか確認することがまず必要です。
ヤマをかけて問い合わせ、対応を観察するといった交渉に長けた記者も多いので、安易に全てを出して話に乗ってしまうばかりではなく、「そんなことは決してない」と断固拒否したり、こちらもかまをかけて否定してみるのも一つの手です。
その相手の反応から情報がどの程度のものなのかを推し量ることにもなります。
一旦電話を切った後、直ちに上司とその後の対策を練ってください。
メディア取材対応の流れ
その後の広報としての行動は
- 社内で事実関係を調べる
- 当面の記者への対応をする
- 対外的な交渉をする
これらを進めながら、と同時に上司や経営層と相談し、各所と連携をとりながらことを運ぶことになります。詳細は以下になります。
記者から取材申し込みを受ける
↓
記者への確認事項
- メディア名
- 取材の意図の確認
- 取材対象
↓
そのとき、【重要案件の場合】たとえば
- 重要な経営案件
- 未発表の予定案件
- マル秘案件
- 事件・事故・不祥事
- 内部告発
などの場合……
問題あり!と判断したら
- 経営層トップと連絡、迅速に対応を図る
- メディア対応へ動く(重大な事件事故の場合、危機発生後おそくとも2時間以内に記者会見など)
- 社内の意思統一を図る
↓
記者との取材設定(日時や場所を決める)
↓
会見での説明者を決定する
同時に資料用プレスリリースを作成していく
(案件の重要性によって・技術者や当事者)
↓
取材時
- 広報も同席
- 未決定事項や数字には慎重に聞き、時には訂正をする
↓
報道後
- 社内外問い合わせに対応
想定問答集Q&Aにて対応をする
- クリッピングをする
広報が最前線の防波堤になり、同時にアンテナにもなるため、情報収拾と、経営上層部との意思統一が重要です。
まとめ
ネガティブ取材が急に訪れた際、広報担当者は常に記者の締め切りに追われ、切迫する状況になります。また広報の回答がそのまま会社の回答として、すぐに記事になってしまうという厳しい現場にいつも立たされることになります 。
万一の場合を想定した対策を、日頃から経営層と意思疎通を図り、あらかじめ対応を練っておくことが重要です。