「タイトル(件名)で内容がわかるように」「画質の良い写真を使用する」「誰から送付されているのかわかるように送信者を変更」など、
マスコミの記者の目に留まりやすいニュースリリースには、書き方にコツがあることをお話ししました。
では、実際のニュースリリースの内容はどうでしょうか。記者の立場から見ると、どの様な情報を求めているのかを考えてみましょう。
記者はどのようなニュースリリースを求めているか
新鮮な情報を記事にしたい
記者はまだ誰にも記事にされていない新鮮な情報を求めています。
もし新商品が「日本初」や「関東では弊社のみ」の発売であるならば、それだけで記者が飛びついてくれる可能性があります。
]ただし、きちんと調査した上で記入しましょう。周りに見当たらない商品だからといって安易に「初」という言葉を使用し、後から同様の先発品が見つかった場合には企業の信頼に関わります。
読者に感動を届けたい
当たり前のことのようですが、記者は記事の先に読者を想定しています。
記事を読んでくれる読者に、役立つ情報や感動を届けたいと考えているのです。消費者(読者)とのより良い関係を築いていきたいという想いは我々広報と一緒ですね。
社会的に意義がある
販売する商品が困っている人の役に立つ、または社会をより良く変えていくことができるなど社会に貢献できる情報は、記者も記事にする価値があると判断するでしょう。
そのような社会的意義のある商品であれば、それを前面に押し出すことで記者の目に留まりやすくなるでしょう。
自社のニュースリリースにベネフィットを
広報がニュースリリースを作成する際、「5W1Hを使用して、事実のみを正確に記載する」と習います。
ニュースリリースは「企業の外部に向けた公式文書」なので、誇張された表現や宣伝色の強い文言を使用すると記事自体の信頼性が下がります。
そのためメディアに掲載されたいという意図が見え隠れする、宣伝色の強いニュースリリースは記者に嫌がられる傾向にあります。
とはいえ、商品・サービスの概要・効果などを淡々と書き連ねた文章が面白みに欠けるのも事実です。内容を正確に、客観的に伝えることは大前提ですが、そこにプラスαの要素を足してみましょう。
記者が想像しやすいようにストーリーを作る
「なぜこの商品なのか」「なぜ『今』なのか」という疑問に答えられるように、業界の動向・将来の可能性などをを入れつつ端的な文章で書きましょう。
人はそのストーリーにひきこまれ、もっと深くその商品が知りたいと思うのです。開発現場の「この商品は!」「今ならば!」という想いも同時に込めることができるのでおススメです。
読者にとってのベネフィットとは
記事を読む読者が求めているものは「メリット(商品の特徴)」ではなく「ベネフィット(期待される効果・恩恵)」です。例えばキッチンバサミを購入するときを考えてみましょう。
- メリット : 「包丁を使わずに肉や野菜を切ることができる」
- ベネフィット : 「料理の時短・洗い物を少なくできる」
このように商品のメリットはベネフィットへのプロセスだということがわかります。記者は読者の利益になる記事を書きたいのですから、読者(消費者)がどのようなベネフィットを求めているか分析し、訴求していきましょう。
世の中で大ヒットしている商品
日経トレンディの「2019年ヒット商品ベスト30」で第9位を獲得した「LION ルックプラス バスタブクレンジング」のニュースリリースを見てみましょう。
タイトルを読めば商品がわかる
“浴槽全体に洗剤のミストをかけて60秒後に流すだけ。こすらず洗う新方式『ルックプラス バスタブクレンジング』新発売”
「何ができるのか = こすらず洗う」、「使い方 = 浴槽全体に洗剤のミストをかけて60秒後に流すだけ」
タイトルを読んだだけで、商品の概要がわかりますね。
業界の背景・ストーリーを盛り込む
次に、ニュースリリースの中を見てみましょう。
導入部で業界の背景と読者へのベネフィット「各々の理想の暮らしを実現できる」を同時に伝えています。これらを盛り込むことにより、商品の説明へとつなげやすくなります。
””日々のこすり洗い”が負担に感じられているお風呂の浴槽を、スポンジなどでこすらなくてもキレイにできる浴室用洗剤『ルックプラス バスタブクレンジング』を新発売いたします。”
先ほどの導入部があるため、「なぜ今なのか」「なぜこの商品なのか」がすんなりと頭に入ってきます。
引用 : 浴槽全体に洗剤のミストをかけて60秒後に流すだけ。こすらず洗う新方式『ルックプラス バスタブクレンジング』新発売
まとめ
記者は広報と同じように、読者とのより良い関係を築こうとしています。
常に「読者(消費者)にどのように役立つのか」「社会にどのように役立つのか」を考え、イメージの湧きやすいニュースリリースを作成するようにしましょう。