メディアトレーニングの種類には二種類あります。
記者が会社に対して前向きな内容を取材する前提のポジティブな案件に対するトレーニングと、事件・事故・危機などの取材に対応したネガティブなものです。
今回は2種類のメディアトレーニングについて詳しく解説します。
メディアトレーニングの主旨
メディアトレーニングは、
「平常時にメディア対応を訓練することにより、メディアの向こう側にいる視聴者や読者に、自分が伝えたいことをや思いを効果的に伝えるテクニックをシミュレーションを通して会得すること」
です。
詳しい内容としては、以下のものの習得を目指します。
- キーメッセージを効果的に伝える
- 誘導尋問に乗らないテク
- 失言を防ぐ方法
- 印象を自分で操作する
- 難しい質問への答え方
- メディア視点を理解する
トレーニングの結果得られる効果として、
- 透明性の高い情報の発信
- 企業に対する信頼感を得る
ことを目的としています。
ポジティブなメディアトレーニング
主にポジティブなメディア対応の平常時のトレーニングのことを指します。ここでは主なものをご紹介しましょう。
電話対応
主に若手広報担当者に向けたトレーニングです。
記者役の人との電話でのやりとりを録音し、電話を受けた広報担当者にそれを聞いてもらい、レビューをするのが簡単な流れ。
想定する記者からの電話取材内容は、
- ニュースリリースに対する問い合わせ
- 業界の動向
- 当該企業についてのトピックスに対する質問など。
その内容に関して、社長インタビューの依頼があった場合や、そのまま電話取材の流れになった場合などのように、どのように対応し答えていくか、さまざまなシチュエーションでトレーニングを行っていきます。
個別インタビュー
テーマをいくつか用意し、準備
↓
1時間弱ほどの模擬インタビュー
↓
録画した映像を見ながらレビュー
以上が簡単な流れで、これは新聞や雑誌のような活字メディアでも、必ずビデオ録画して行います。
新社長就任時や、経営戦略や事業展開などの取材、新製品に関して経済紙の記者がインタビューする、など設定はさまざまあります。
テレビ出演、テレビインタビュー
経済ニュース番組からオファーが来た、番組で新製品を取り上げられた、などの設定でテレビインタビューに特化したトレーニングを行うもの。
すでに出演依頼を受けていれば、あらかじめ質問事項を聞いておき、アナウンサーやキャスター役を立て、同じ設定で模擬トレーニングを行うとよいでしょう。
記者会見
新製品の発表、社長就任あいさつ、合併や新事業などをテーマに、記者会見発表のトレーニングをするもの。
本番さながらに部屋を準備し、カメラや記者役も同様にセッティング、発言者が部屋へ入場するところから、記者会見、退場まで一連の流れを実際に通して行います。
こちらも、その模様を録画したものを見て、話し方や態度、歩き方、服装などトータルで検証し、レビュー・フィードバックを行います。
ネガティブなメディアトレーニング
緊急時のクライシスメディアトレーニングについて解説していきましょう。
ネガティブな案件とは、例えば社員や経営層が巻き込まれた、または起こした事件や、工場火災のような事故、内部告発による情報漏洩や、経営危機など企業ブランドが悪化するダメージ案件などが該当します。
近年ではテレビだけではなく、インターネット、SNSでの動画も一般視聴者が投稿できるため、ネガティブな動画も出回りやすくなっています。そのため、ネガティブなメディアトレーニングの要望が増加している原因にもなっています。
電話対応
リスク発生時には、メディアからの電話が殺到します。この緊急時の電話対応を模擬体験するのがこのトレーニングです。
情報が少ない中、パニックにならないように、確認された情報であるポジションペーパーの内容をもとにやりとりをしていきます。こちらも録音してフィードバックを返し、緊急時に少しでも落ち着いた対応を返せるように備えます。
個別インタビュー
ポジティブの場合と同じように、記者との対面の設定で行うトレーニングです。テーマは危機想定シナリオに沿って行います。
40分程度のインタビューをし、録画してフィードバック。言葉遣いや表情、失言の有無、キーメッセージを伝えられたか、などをチェックしていきましょう。
緊急会見
工場の事故や火災、情報漏洩などをシナリオに行います。
緊急会見の本番同様にシミュレーションを行います。会見前後の様子はすべて録画をしておき、その場で録画を確認してフィードバック、再度シミュレーションを行います。
危機対策本部設置
リスクが発生したと想定し、危機対策本部を設置するところからシミュレーションをするトレーニングもあります。
1日をかけて、次々に発生する事態に対処する模擬訓練で、そのたびに協議し対応方針を打ち出していきます。
途中で行政役や消費者への対応する場面など本番さながらの事態に対応していき、最終的にレビューをして終了します。
シミュレーションは繰り返そう
シミュレーションは一度ではなく、何度もやってみることが大事なこと。
何度も繰り返すことにより体に覚え込ませましょう。日常業務の受け答えが、すべていざという時に現れますから、日頃から意識していくのも大切なことです。
まとめ
ポジティブとネガティブトレーニングについて解説しました。
近年はメディアだけではなく、ネットでの露出もすべて動画で流れてしまいます。
それも動画は瞬時に、即刻流れますから、日頃どのようにみられているか、そしてどのように発言していくべきなのかを学ぶことは、会社の顔として発言する人にとってとても効果的でしょう。