記者からの取材申し込みの電話が来たとしても、内容によってはどうしても取材を断りたい場合が出てきます。
もし社内で起こった不祥事について取材依頼が来た場合、広報の対応次第で企業の評価が上がったり下がったりしますから、責任も重大になります。
SNS時代ですから、その上下の幅はさらに大きくなっています。
しかし記者との関係性はできるだけ保っておきたいもの。
記者に対してどのように断れば、その後の関係を断つことなく続けることができるのでしょうか。今回は、ポジティブとネガティブな事案にわけて、取材の断り方についてお伝えします。
ポジティブな理由だが、断る場合
極力取材には応えていこう
ポジティブな理由であれば、たいていメディアからの取材は喜ばしいものですが、そのメディアが自社のイメージに合わない場合であったり、内容によっては受けたくないこともあるでしょう。
しかし極力、取材には応えていくのが基本的な姿勢として心得てください。
企業とは、公共へ貢献する存在でもあるため、社会に対する説明責任を持つからです。
ただなるべく受ける姿勢ではあるものの、事情によってはどうしても断らなければならないこともありますので、断る場合は次の項に掲げた3つのことを意識してください。
断る場合に意識したい3つのこと
断る場合は、次の三つを意識して返答をしましょう。
- 即答しない
- 最大限努力をしたアピールをする
- はっきりとした理由を伝える
それぞれ対応の仕方について説明します。
即答しない
電話を受けた時点でこの話は断ろうと意思を決めたとしても、即答をせずに、少し待ってもらうように伝えて、一度電話を切りましょう。
一旦電話を切るのは、こちらとしてもできるだけ取材を受けたい気持ちがある、という姿勢をアピールしたいからです。
「お話の内容では現状厳しいかと思いますが、可能な限りお受けするように調整してみます」
このように伝えることで、相手の心象も即座に断った場合とは異なるでしょう。
最大限努力をしたアピールをする
一旦間を置き、記者に再度連絡を取った際、企業の窓口として最大限努力したことをアピールします。上司に掛け合った、現場の人たちと話し合ったなど努力をした旨を伝えると、記者とのリレーションが続けやすいと思われます。ただ、口先だけではなく実際に調整に駆け回っていたり、心からの気持ちがないと相手に伝わりますよ。
はっきりとした理由を伝える
これはポジティブでもネガティブでも同じですが、断る場合は明確な理由を伝えましょう。
事案の内容から、こちらの守秘義務が生じたり、プライバシーの問題があれば、それを理由にして断ることができます。また自社がコメントをする立場にない場合も、そのように伝えましょう。
ネガティブ事案、緊急時のインタビューを断る場合
事故発生直後や社員や経営層による事件発覚直後など、こちらが情報を集めるより先にメディアからインタビュー取材の問い合わせが入る場合があります。
ここでは、緊急時におけるインタビュー取材を断る場合について、どのように断るのが一番安全かお伝えしていきます。
受けるか受けないかの判断をする
記者からの電話は突然やってきます。
こちらがまだ準備や心構えができていない時でもそれは容赦ありませせん。
内容によっては「その件については、我々はコメントを答える立場にありません」と即時、断るケースもあるかと思いますが、それは例外です。
まずは一度「確認すると」電話を切り、上司に報告するのが得策です。
取材をはねつけない
取材を即刻拒否し、記者をはねつけるとメディアからの反感を買いやすく、
「取材を申し入れたものの、◯◯社からの回答はありませんでした」とネガティブなイメージの記事になりがちです。
結果として自社への悪印象を抱かれる原因にもなるので、すべてをはねつけるのではなく、きちんと誠意を持った対応をしましょう。
取材拒否の変わりとなる対応
すべて取材拒否、ノーコメントではネガティブな記事になりやすくなります。
最低でも、文書で質問への回答をするようにしましょう。
簡単なコメントを返すだけでも、記者をはねつけるのとは印象は違います。
コメントの場合は、要点のみを数行返信でOKです。
実際の記事になった場合はほとんどが削られてしまいますから、長々と書く必要はなく、こちらが今現在知っている範囲の情報を短く答えます。
また、答えられない場合は答えられない理由を添えて回答しましょう。「現在調査中のため応えられません」のような内容で十分です。
まとめ
ネガティブな案件にしろポジティブな案件にしろ、取材を断りたい場合は、一度誠意を見せた上で電話を切り、きちんと理由を添えて回答することです。
記者をはねつけずにきちんと対応することは、メディアとの良好な関係を今後も長く築く上でも、自社ブランドを必要以上傷つけないためにも、重要なこと。
特に緊急時の取材では動揺してしまいますが、気持ちを落ち着けるとともに、情報を上司や経営層と共有して、最善策でのぞみましょう。
そして、いざというときに不安に押し流されないためにも、平時からのメディアトレーニングを行っておくとよいのではないでしょうか。