「世の中のブームはマスコミによって作られている」という話を聞くことがあります。確かにそれまで知られていなかったものがメディアに掲載されると、あっという間に大人気に、というのはよくあることです。
例えば、今では一般的に食べられるイタリアのスイーツ、ティラミスですが、火付け役は女性誌「hanako」でした。
「hanako」では「いま都会的な女性はおいしいティラミスを食べさせる店すべてを知らなければならない」というキャッチコピーを掲げ、あっという間にティラミスブームを作り出します。
このようにブームはマスコミ・メディアにが作り出しているかのように見えます。
しかし、実は世の中のブームは実は広報が作っているともいえるのです。
世の中のブームを作り出す広報はクリエイターです。
今回は広報が作ったブームと、商品に『情報の価値』を与えて自社をメディアに売り込む『攻めの広報』のポイントをお伝えします。
ブームを作っているのは広報

皆さんはトレンドの商品の情報をどこで知るでしょうか?消費者が日常的に触れるのは、いわゆる4大メディア(TV、ラジオ、新聞、雑誌)の他にインターネットを使ったWEBメディア、フリーペーパーやオウンドメディア(企業が出している広報誌)などあります。
それぞれのメディアに記者がいて、アンテナを張って情報収集を行っています。その記者に対して情報を提供をするのは、大抵の場合広報です。
札幌のローカルフード「スープカレー」を関東で流行らせたのは広報だった
札幌発祥のローカルフードにスープカレーがあります。スープカレーとは、揚げ野菜や大きな塊肉などがゴロゴロ入ったサラサラとしたスープ状のカレーです。通常のカレーライスはごはんの上にカレーをかけますが、スープカレーはごはんをスプーンでスープにひたして食べるのが特徴的です。
その一風変わったスープカレーを東京で流行らせたのは、横濱カレーミュージアムの広報である井上 岳久氏でした。
井上氏は横濱カレーミュージアムの立て直しの一環として、スープカレーを広めたいと思い、札幌で一番といわれるお店に出店をお願いしました。
出店は決まりましたが、メディアはスープカレーがどのようなものかも知らない状況。井上氏は早速ニュースリリースや資料を作ってマスコミ巡りをしたそうです。
その甲斐あってか、メディアはスープカレーの特集を組むなどブームの下地が作られていきました。
そして横濱カレーミュージアムに実際に出店した時には、さらにメディア露出が加速しました。数多くのメディアがこぞって取り上げてくれ、客足も絶好調。あっという間にスープカレーがブームになりました。
このように広報はブームの火付け役となっています。広報自らが商品を選んでマスコミにPRし、そしてブームを作り上げていくのです。
攻めの広報とは

一方、中小企業やベンチャー企業の広報は『守りの広報』の必要性は薄いですが、大企業に比べて知名度がない場合が多いため、自らをメディアに売り込む『攻めの広報』が必要になるのです。
『攻めの広報』において大事なことは、『情報の価値』です。情報に価値を与えるポイントは3つあります。
- 目新しさや意外性、トレンドなどの価値
- なぜ今なのか(社会性・時事性・季節性のどれがあるのか)
- なぜこの商品なのか(数ある商品の中で、なぜこの商品を勧めるのか)
この3点がすべて入るように意識して商品のストーリーを組み立てます。さらに、その情報に合ったメディア・記者の選択をしっかりと行うことで記事になる確率を高めることができるのです。
メディア・記者の選択方法は、またの機会に詳しくお話しします。
まとめ
広報は世の中のブームを作る、クリエイティブな仕事です。
自社の情報の取捨選択は広報の役目だと考えましょう。
適切な時期に適切な記者を選択することによって、メディアに取り上げてもらう確率がアップします。
中小企業やベンチャー企業は『攻めの広報』の姿勢でどんどんメディア露出を増やしていきましょう。